おはようございますですー。
今日はこんな人には、この「マンガ短編集」がお勧めですといった診断を独断と偏見で選別していきたいと思います。
よろしければお付き合いください。
では、唐突に心理テストを始めます。
貴方はお見合いをすることになりました。お見合い写真を開いて出てきた人に貴方はどんな印象を持ちましたか?以下の1~8の数字から選んで下さい。
1.可愛らしいけど、アホそう
2.コロコロまるまるとして、優しそう
3.料理が上手そう
4.どこかしらのハーフのようだ
5.のほほんとして子供っぽい印象
6.真面目と狂気が同居しているようだ
7.悲しそうに笑ってる
8.あからさまにゾンビ
選んで頂けたでしょうか?
この心理テストは貴方のお見合い写真に写っていた人を通して、貴方と相性の良いマンガ短編集が分かってしまいます。それでは診断結果を見ていきましょう。
1.可愛らしいけど、アホそうを選んだ貴方
長崎ライチ著
『阿呆にも歴史がありますの』
この本はアホです。著者の長崎ライチ先生ご自身がそう仰っているので、こう形容して差し支えないと思います。可愛らしいタッチの絵で綴られる、どこかいそうでいない、そして、どこか憎めない様々なアホが織りなす日常。そんなアホ達になぜか癒される不思議な読後感。1を選んだ貴方にぴったりの一冊となるでしょう。長崎先生の代表作『ふうらい姉妹』の布石がここにあります。私が女性漫画家先生の作品で声を出して笑ってしまったのは柴田亜美先生以来この方が2人目です。御姉妹で描かれてらっしゃるので2人目という表現は合っているのでしょうか?
オススメ:「紙一重りんちゃん」
阿呆にも歴史がありますの (BEAM COMIX)
2.コロコロまるまるとして、優しそうを選んだ貴方
岩岡ヒサエ著
『パーマネント―まんがの詰め合わせ―』
この本に登場するキャラクター達は恐らく全員優しいです。優しい人達のちょっと不思議で和んでしまう物語が揃っています。一本だけややハードなものもありますが、女性にも読みやすい一冊だと思います。岩岡ヒサエ先生ご自身のエッセイも挟まれていて、思わず和んでしまいます。2を選んだ貴方はきっと好きになって下さるでしょう。また、第15回文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞を受賞した『土星マンション』の原型漫画も収録されています。私はこの短編を読み終えて、すぐに『土星マンション』全7巻大人買いしてしまいました。
オススメ:「クマと健太の楽しい苦行」
パーマネント 〜まんがの詰め合わせ〜 (IKKI COMIX rare)
3.料理が上手そうを選んだ貴方
うえやまとち著
『クッキングボス うえやまとち初期作品集』
ご存じ『クッキング・パパ』でお馴染み、うえやまとち先生の初期短編集です。中学生番長荒岩の『クッキングボス』や、主人公の顔がうえやま先生になっている『クッキング・パパ』を読むことができ、他にも料理とは離れた作品も収録されており、若かりし頃のうえやま先生を知ることのできるファン必携の一冊となっています。巻末でご自身が「料理って面白い」と語っていらっしゃるように、当時から料理の絵に凄くこだわりを感じさせられます。3を選んだ貴方はちょっとした飯テロの餌食になること請け合いです。この短編を読むまで気づかなかったのですが、うえやま先生の描く美人はもの凄く魅力的です。
オススメ:「ばさら村だより」
クッキングボス うえやまとち初期作品集
4.どこかしらのハーフのようだを選んだ貴方
九井諒子著
『竜の学校は山の上』
近年、様々な賞で1位に輝いた『ダンジョン飯』の作者九井諒子先生の短編集です。ファンタジーを囲う現実感にハッとさせられる作品が多く収録されていて、これは九井先生の作風でもあると思いますが、ファンタジーが苦手な人にも読みやすく作られています。シンプルな線で人物や背景を描かれており、物語にも入っていきやすいと思います。多くの人外キャラクターが登場しますが、それらの人外キャラ達が物語の世界にしっかり溶け込んでおり、いじらしい程の人間味を帯びています。4を選んだハーフ好きな貴方は日常としっかり一体になったファンタジーを一緒に召し上がって頂くことになるでしょう。一部、web上で公開されている作品もあるので、ご一読をお勧め致します。
オススメ:「魔王城問題」
竜の学校は山の上 九井諒子作品集
5.のほほんとして子供っぽい印象を選んだ貴方
石黒正数著
『Present for me 石黒正数短編集』
子供っぽい登場人物が活躍するギャグ要素たっぷりな石黒ワールド全開の短編集です。石黒正数先生の第17回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞受賞した『それでも町は廻っている』を読んでいても思うのですが、子供っぽい無邪気な日常ギャグの中にSFやミステリーなどを入れ込みながらも、ラストにはきちんとしたオチを用意するという見事な構造がこの初期短編集の中にも見ることができます。5を選んだ貴方はのほほんとした子供っぽさの裏にあるクレバーさにもやられてしまうかもしれません。所謂、ギャップ萌えというやつです。また、石黒正数先生が大学時代に一週間で描き上げたデビュー作「ヒーロー」も収録されています。
オススメ:「Present for me」
Present for me 石黒正数短編集 (ヤングキングコミックス)
6.真面目と狂気が同居している印象を選んだ貴方
藤田和日郎著
『藤田和日郎短編集 夜の歌』
カッコイイ漢(おとこ)を描かせたら日本でも五本の指に入るであろう藤田和日郎先生の魅力が濃縮された短編集です。本著は私も愛してやまない『からくりサーカス』の原型「からくりの君」(のちにOVA化)、中国武術形意拳の経験を生かされた「掌(てのひら)の歌」、ヒーローとはこういうものだと言わんばかりの「メリーゴーランド」、前後編のホラーミステリー「夜に散歩をしないかね」、デビュー作「連絡船奇譚」など藤田先生の出発から現在までの作家性が分かってしまう一冊になっています。6を選んだ貴方は漢の熱血と人間の狂気にどうぞその身を焼かれて下さい。巻末のアシスタント一覧は現在有名な先生ばかりです。『藤田和日郎短編集 暁の歌』も合わせてどうぞ。
オススメ:「からくりの君」
藤田和日郎短編集 夜の歌(1) (少年サンデーコミックス)
7.悲しそうに笑ってるを選んだ貴方
田中雄一著
『田中雄一作品集 まちあわせ』
この本の帯にもあるように「異形の生物と人間がおりなす生命と生存のドラマ」がここにあります。絶対的な絶望の状況下で小さな希望を見出す人間が多数登場するこの短編のキャラクターの笑顔は、皆一様に悲しそうな顔をしているような気がします。というか笑ってるシーンがあまり見られません。しかしながら、それでも生きていくといった人間のしょうがなさに何か普遍的なものを感じさせられます。収録作「箱庭の巨獣」は創元SF文庫「さよならの儀式年刊SF傑作選」(2013年度版)にも選ばれた一級SFです。これで新人で初単行本ということも驚きです。7を選んだ貴方は悲しそうに笑ってる人の魅力をご存知のようですね。田中雄一先生のこれからの作品にも注目したいです。
オススメ:「箱庭の巨獣」
田中雄一作品集 まちあわせ (アフタヌーンコミックス)
8.あからさまにゾンビを選んだ貴方
田島昭宇、寺田克也、鬼ノ仁、うぐいす祥子、島田虎之介、外薗昌也、ヒロモト森一、古泉智浩、腑貌篤史、広江礼威、沙村広明、松本次郎著
『マンガ・オブ・ザ・デッド』
申し訳ございません。こちらは短編集ではございません。ゾンビコミックアンソロジー本になっております。多くの著名な先生らによる夢のコラボ本ですが、イラスト一枚のみ掲載の先生もいらっしゃるので注意が必要かと思います。この本の公式サイトで詳細が確認できるので興味を持たれた方は一度御覧になることをお勧め致します。私は寺田克也先生と外薗昌也先生の名前で購入したので、推しマン(イチ推しの漫画家)が漫画を描いているかをお確かめになって下さい。私はゾンビ作品と血というものは切っても切れないものだと思っていた中、血が全く出ない島田虎之介先生の「ZOMBIE」は異色に感じました。はい、8を選んだ貴方!ゾンビのお見合い相手なんていないですよ!そうお感じになっても、たいてい人間ですよ!
オススメ:寺田克也「アンドアイラブハー」
マンガ・オブ・ザ・デッド
以上、馬場猪木式タイプ別マンガ短編集診断でした
漫画紹介記事は一度やってみたかったので満足しました。
本当はもっと御紹介したい素晴らしい短編があったのですが、画像が無かったり、Amazonに置いて無かったりでしたので、泣く泣く断念致しました。写真を撮って掲載しようとも考えましたが、著作権的なことも考えて止めました。
ちなみに私がお見合い写真を開いて出てきた人は5でした。
長々と最後までお付き合い頂きありがとうございました。